■年金のしくみ
日本の年金は、3階建てといわれています。20歳以上60歳未満の日本国内に住所のあるすべての人が加入する国民年金が1階部分です。会社員が加入する厚生年金や公務員などが加入する共済年金が2階部分、企業年金や確定拠出年金などが3階部分となります。 |
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■国民年金―1階部分― 国民年金の加入期間が25年以上ある人は65歳から老齢基礎年金を受給できます。しかし、加入期間が25年以上あっても、必ずしも老齢基礎年金を満額受け取ることができるわけではありません。老齢基礎年金を満額受け取るためには、40年間の加入期間が必要です。 |
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・2013年10月から2014年3月までの老齢基礎年金の満額は、月額約64,875円(年額778,500円)になります(20歳から60歳になるまで保険料を全納し、65歳から受け取る場合)。
・経済的な理由などによって保険料を納めることができない人には、保険料の全額または一部の額が免除される制度があります。保険料を免除されていた期間等は、加入期間に加えることができますが、受け取ることのできる年金の額は、全額納めた人よりも少なくなります。 |
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■厚生年金―2階部分− 会社員などは、老齢基礎年金に加えて、厚生年金から老齢厚生年金を受給できます。老齢厚生年金も原則として65歳から受給することができますが、生年月日および性別に応じて、60歳から64歳の間に特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができる人もいます。 老齢厚生年金の額は、働いていたときの給与等に応じて、それぞれ金額が異なります。 |
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公務員の場合、2階部分が共済年金になっています。共済年金の額は、原則として、厚生年金の額と同額になります。ただし、共済年金には独自の制度として職域加算部分があります(職域加算部分は2015年10月に廃止され、「年金払い退職給付」の制度が創設される予定です)。 |
■企業年金―3階部分―
会社に企業年金の制度がある場合には、企業年金を受け取ることができます。
企業年金には厚生年金基金や、確定給付年金、確定拠出年金等があります。 |
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■年金と税金 年金の収入は、雑所得に区分されます。国民年金、厚生年金、企業年金から支払われる年金は公的年金等に該当し、生命保険会社などで加入している年金保険は個人年金と呼ばれます。それぞれ、下図のように所得の金額を計算します。 |
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こうして計算した金額を合計し、さらに総合課税の対象となる他の所得と合算して、一定の所得控除等をし、税額を計算します。 なお、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の人は、公的年金等を受け取る際に源泉徴収されるだけで、課税関係を終了することができます(確定申告の必要はありません)。ただし、医療費控除や配当控除等の適用を受ける場合には、確定申告をすれば、還付を受けることができます。 |
■遺族年金―万が一の場合の年金―
国民年金や厚生年金の被保険者に万が一のことがあった場合、一定の要件を満たす配偶者や子等は、遺族年金を受給できます。 たとえば、国民年金の加入者等に生計を維持されていた遺族のうち、子のある配偶者(※)または子は、原則として遺族基礎年金を受給することができます。また、厚生年金の加入者等に生計を維持されていた一定の配偶者や子などの遺族は、原則として遺族厚生年金を受給できます。 なお、年金制度において、子という場合、18歳に達した年度の最終日を過ぎていない未婚の子(孫等)、または障害等級1級および2級で20歳未満の未婚の子(孫等)のことをいいます。 |
※遺族基礎年金を受給することのできる「子のある配偶者」は、2014年3月までは加入者等に生計を維持されていた子のある妻に限られていますが、2014年4月からは加入者等に生計を維持されていた子のある夫も対象となる予定です。 |
◆国民年金の遺族基礎年金
遺族基礎年金の支給額は2013年10月から2014年3月までは778,500円(年換算額)で、子の数に応じて「子の加算」があります。
子のある配偶者(※)が受給する場合、子が2人までの場合は1人につき224,000円、3人目からは1人当たり74,600円を加算します。 |
子のある配偶者が受給する場合の遺族基礎年金の額
(2013年10月〜2014年3月、年換算額) |
1人 |
778,500円+224,000円 |
2人 |
778,500円+224,000円+224,000円 |
3人以上 |
778,500円+224,000円+224,000円+74,600円×(子の数−2人) |
子のみが受給する場合は、子が1人であれば778,500円、子が2人であれば、1人の子が受給する額は「778,500円+224,000円」を2等分した額、子が3人であれば、1人の子が受給する額は「778,500円+224,000円+74,600円」を3等分した額となります。 |
※2014年3月までは加入者等に生計を維持されていた子のある妻のみが支給の対象ですが、2014年4月からは加入者等に生計を維持されていた子のある夫も対象となる予定です。 |
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◆厚生年金の遺族厚生年金・中高齢寡婦加算 遺族厚生年金は、下表のようになっています。また、遺族厚生年金を受給できる寡婦で、一定要件を満たす場合は中高齢寡婦加算があります。ただし、遺族基礎年金を受給している間は、中高齢寡婦加算は支給されません。 |
遺族の範囲 |
遺族厚生年金を受給できる遺族とは、厚生年金の被保険者または被保険者であった人が死亡したときに、その人に生計を維持されていた次のような遺族。ただし、優先順位が定められており、先順位の人がいる場合には、後順位の人は遺族厚生年金を受給することはできません。 妻、55歳以上の夫、子、55歳以上の両親、孫、55歳以上の祖父母(夫、両親、祖父母には60歳から支給) |
年金の額 |
厚生年金の報酬比例部分の4分の3 |
備考 |
30歳未満で子のない妻については、5年間のみ支給 |
中高齢寡婦加算 |
(1)夫の死亡時に40歳以上65歳未満で、子のない妻
(2)40歳の時点で遺族基礎年金を受け取っていたが、子が成長し、遺族基礎年金を受け取ることができなくなった妻
(1)と(2)の場合、40歳から65歳になるまで支給 |
※中高齢寡婦加算の額は583,900円(2013年10月〜2014年3月、年換算額)です。 |
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■障害年金―万が一の場合の年金― |
◆国民年金の障害基礎年金
国民年金の障害基礎年金は、病気またはケガで障害等級1級および2級の状態にある間、一定の条件を満たす人に対して支給される年金です。障害等級2級の人の支給額は老齢基礎年金の満額(778,500円(2013年10月〜2014年3月、年換算額))で、障害等級1級の人は2級の人の1.25倍の973,100円(2013年10月〜2014年3月、年換算額)になります。 また、受給者が扶養している子がいる場合、子の数に応じて「子の加算」があります。子の加算額は、遺族基礎年金と同じです。 |
◆厚生年金の障害厚生年金
障害等級1級〜3級に該当する人は、障害厚生年金を受給することができます。障害等級1級および2級に該当する人は、障害基礎年金も併せて受給することができます。なお、1級および2級に該当する受給者に扶養している配偶者がいる場合、配偶者の加給年金額が加算されます。配偶者の加給年金額は224,000円(2013年10月〜2014年3月、年換算額)です。 支給額は障害等級2級および3級に該当する人は老齢厚生年金の報酬比例部分の額、1級の人はその1.25倍になります。3級の場合、最低保障額(583,900円(2013年10月〜2014年3月、年換算額))が決められています。
なお、障害等級3級には該当しない人で、一定の障害の状態にある人には、障害手当金(一時金)が支給されます。障害手当金の額は報酬比例部分の2倍に相当する額で、最低保障額(1,150,200円(2013年10月〜2014年3月、年換算額))が決められています。 |
2014年2月現在 |